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株式会社晃祐堂 化粧筆工房 土屋代表インタビュー03

仲間に支えられて歩んできた道

  • 2024/5/13

「筆を通してより良い社会に。誰かの「きっかけ」になる筆作りを。」
株式会社晃祐堂 化粧筆工房
土屋武美 取締役社長

土屋さんのターニングポイントをお聞かせください。

 自分自身の性格的なことを言うと、子どもの頃はおとなしい、内向的な子で、大人になってかつ広島に来てから喋るようになりました。

 他所から来てるから初めは仲間が誰もいませんでしたが、気が付けばそこからどんどん仲間が増えていました。
 あとはせっかくいい「熊野筆」というものを知っている人は意外に少なくて、これは広めていかないといけないなと感じて自分が宣伝塔になっていくうちに異業種の友達が出来た、というのも自分の中で大きなものでした。
 なので広島に来たことは僕の中でのターニングポイントですね。

昔と比較すれば熊野筆の認知度は上がっていると思うのですが、逆に筆を作る伝統工芸士は年々減少していると思います。そのことについてどう思いますか。また、どうしていきたいと考えていますか。

 認知度と後継者問題の2点で言うと、まず熊野筆自体の認知度は上がってはいるのですが、広島県にあることを知っている人は少なくて、実は3割を切っているんです。
 熊野という地名が全国各地にあるので勘違いされたり、そもそも熊野町に来たことのある人がそんなにいないのです。

 広島は観光で有名ですが、その中ではやはり宮島などが強くて、広島県民でさえも熊野町に実はまだ行ったことが無いという人が多いです。
 なので、認知度が十分上がっているとはまだ思ってないですね。まだまだ長い伸びしろがあるので伸ばしていきたいです。

 後継者の問題でいうと、意外に弊社は女性や若い人が多くて、そこはあまり心配していません。全部作れるかは置いておいて、何かしらの作業は皆できるんですよね。
 熊野町内に弊社の拠点が3ヶ所あり、書道筆を作るところ、化粧筆をつくるところ、そして材料を確保するところの3つに分けていますが、書道筆をつくるところの方がどちらかというと職人っぽいです。
 ですが、弊社の化粧筆は分業制にして誰でもある程度できるようにしているので、その点では不安はそれほどありません。

 むしろ材料の方を不安視してます。天然ものだから今後ちゃんと確保できるのか、人の問題よりその方が不安ですね。

働いていくうえで土屋さんにとって大変なことや辛いことはありましたか。

 はい。たとえば商品を販売したものの入金がないことがあり、周りが助けてくれて何とか代金が振り込まれたりしました。
 私生活にしろ仕事関係にしろ記事にできないような大変なことは他にもたくさんありました。けれど、周りの仲間が助けてくれて事なきを得た、ということが本当にいっぱいあります。
 なので、自分が考えていることがあればどんどん言う方がいいのかなって思いますね。黙ってても分かってもらえないので。

反対にこの仕事をしていてよかった、嬉しかったことはありますか。

 この前、小学校2,3年生くらいの女の子が家族で観光に来て、筆作り体験をしたのですが、年賀状をくれたことがありました。
 「また来年も行きます」と書かれていて、それはやっぱりすごく嬉しかったですね。

会社概要

社名:株式会社晃祐堂 化粧筆工房
代表名:土屋武美
住所:広島県安芸郡熊野町平谷4丁目4-7
TEL:082-3870-9432
HP:https://www.koyudo.co.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/profile.php?id=100024737951725
事業内容:書道用筆(約3500本)、画筆(約2000本)、化粧筆(約300本)、実用新案(6件)、意匠登録(16件)、商標登録(6件)
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