理念をつくった後、どのような変化がありましたか？

　まだまだ未熟な私ですが、妻のお陰で、私は変わることができました。その結果社員の方も変わっていきました。そしてその考えに共感してくださった人が新たに入社して下さいました。
　会社を辞めていった方もいらっしゃいましたが、新しい価値観をつくり、変化していきました。

　私は企業とは総じて変化対応業だと考えています。個人ももちろん変化に対応しなければなりませんが、組織や会社も対応していかなければならないと思っています。
　流行り廃りもありますが、組織もずっと同じ商品やサービスを提供するのではなく変化していかなければなりません。だからこそ、私達も新しい事業展開や新しい制度を増やしています。

どんな事に注力されているのですか？

　人材育成に力を入れています。以前は、「背中を見て覚えなさい」という教育がほとんどでした。しかし今は、社外の研修にも参加してもらいますし、社内でも学びの場を多く作っています。
　大切なことは共通の価値観や、共通言語を構築することです。これらを養っていくには、同じ体験をしないといけないと思います。だから、みんな同じ研修を受け、それぞれ感じた事、考えたことを共有し合うようにしています。

　もう1つ、重要視している事があります。それは顧客接点です。
　私はアルバイトの子が入社する度にオリエンテーションを担当しています。そこで、誰に、どのように、何を提供するのかを定義したモノを伝えています。

〈定義〉
誰に・・・週一回以上来店してくださるお客様
どのように・・・お客様に興味を持って知り尽くす
何を・・・ココロオドル体験を

　具体的には、お客様カルテをつくっています。
（実際に見せて頂きました。1枚1枚手書きのカルテで、スタッフとお客様が笑顔で写真に映っていて、お客様1人1人を本当に大切にしている事が伝わってきました。）
　写真やお名前、家族構成など細かな情報も記載しています。喫煙される方であれば、何の銘柄を吸われるのかまで書いています。
　ここから会話のネタができ、お客様との繋がりが生まれてきます。

なぜこのような事を行われているのですか？

　キッカケは、私が広島で結婚式をした式場の経営者の方に偶然お会いした事でした。
　とても楽しい結婚式で、主役の私達も、参加してくださった方々もすごく喜んでくれた式でした。その方に会いし、結婚式のお礼と社員の方々の教育についてお話をお聞きしました。

　すると、その方は、「うちの会社では毎朝、朝礼を1時間も行っています。それは、打ち合わせに来られる新郎新婦の方の情報を全員に共有する為です。新郎新婦の方は、何度も打ち合わせに来られるので、毎回行っています。どんな事が好きで、どんな動物を飼われていて、どんな車に乗られているのかまで共有します」とおっしゃいました。

　私は衝撃を受け、「担当のプランナーさんが分かっていればいいのでは？」とお聞きしました。
　その方は、「確かにその通りです。しかし、長谷川さんご夫婦の事を知らないスタッフも、直接的な会話は生まれないかもしれませんが、知っているだけで表情や接し方が変わります。その安心感がお客さまにも伝わるからこそ、朝礼を大事にしています。」とおっしゃられました。

　そこで、お客様の事を知ることが大切だと改めて気づくことが出来たので行っています。
　また、このカルテのテストも行っています。全スタッフがお客様の事を知り、安心感を与える為です。そして、それを日報にも書いて共有出来るようにもしています。

　私はその日報全てに目を通して、解決できる問題があればスピード感を持って解決出来るよう行動をしています。
　お客様が感じる不安要素があれば、すぐに解決する。解決に少し時間がかかる事でも、只今解決中です。というコミュニケーションをお客様に行う。このスピード感とコミュニケーションがお客様にとっての喜びと安心感に繋がり、この積み重ねをしていく事が重要だと思っています。

スタッフひとりひとりが、本気でお客様の事を考え、行動されているのですね。

　店舗に来られるお客様は2パターンに分けられると考えています。
　まずは、ギャンブルで勝ちを求めているお客様です。
　もう一つが、スタッフとのコミュニケーションを求めているお客様です。

　お客様について知り尽くし、会話をすることでこの層のお客様からファンになって貰う事もできます。それが、私たちが提供しているココロオドル場でありサービスだと考えています。

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