現在のお仕事の概要を教えてください

　お客様から注文を受けて牛乳や乳製品、健康食品、酒類の宅配を行っています。

どういった経緯で牛乳屋さんを始められたのですか

社長　妻の両親に誘われたのがきっかけです。当時、義理の兄も脱サラして牛乳屋さんをしていたので、遂に来たかと思いました(笑)
　私はその時マツダで電気エンジニアとして働いていたのですが、タイで海外工場を作るにあたり立ち上げメンバーとして立候補したものの選んでもらえず、やる気を失くしていました。その時期に誘われたのでいいタイミングかなと思いました。

奥様はどう思われていたのですか

専務　マツダのように規模が大きい会社の中では、一人の社員は何千分の1の存在です。責任もやりがいもあまり無いのだろうなと思っていました。
　それに会社の中には先輩社員が何人もいて、自分の10年後や20年後はあんな感じになるのだろうなと容易に想像がついてしまうし、やりたいことも自由にできないですよね。

　また、私は自営業の家庭に育ってきたため、安定したサラリーマンの奥さんになりたい夢があったので満足していました。「やった夢が叶ったぞ!」って(笑)
　ですが本人が牛乳屋さんをすると言った時は、行くと自分で決めたなら、やってみればいいじゃないかと思いました。

始められていかがでしたか

社長　牛乳屋さんを始めた時はお得意様は0件でした。つまり収入が0円ということです。
　だからまずはコツコツと営業をしてお得意様を増やして配達して、またお客様を増やして…の自転車操業状態でした。
　お得意様の数が収入に直結しているし、その当時は娘も小さく家族を路頭に迷わすわけにはいかないから、何とか軌道に乗せないと!とがむしゃらでした。

最初の自転車操業状態から次のステージに進んだという感覚はどの時点で感じましたか

社長　今思えば案外早かったですね。
　自転車操業をして半年くらいでお得意様が500件ほどになるまでは順調でしたが、次第にうまくいかなくなってきました。

　理由は従業員の働き方です。
　当初の配達の仕組みは、配達する地域を2つに分けてそれぞれ週に3日配るというものでした。
　配達には従業員が必要ですよね。最初の頃は働いてくれる人もいました。でもその人が辞めてしまうと一気に回らなくなってしまいます。
　その当時は主婦の方が多く働いていたのですが、2つに分けた配達日のうち1つに土曜日が入っていました。主婦の方は土曜日は家にいないといけないことが多く、片方の日程に主婦の方が偏ってもう片方はリタイア(定年退職)した男性ばかりでした。

リタイアした方が働くことに何か問題があったのですか

社長　男性の方たちに偏っていた方の日程は、なんというかどんよりしていました。
　それにそういった方たちは色々なところで働いた経験があってここに来ている、なので僕らが言うことに対して我流で対応しようとする訳です。自分の以前のままの仕事の仕方をしようとして、結果的にいい仕事にはなりません。もっともそれは女性の方にも言えることで、雑で我流な仕事の方も中にはいました。

　雑で我流な仕事のままリタイアした方は「おっさん」だと思っています。良いリタイアをした男性と良いリタイアをした女性の間に「おっさん」がいる、そして良いリタイアした方でも「おっさん」化してしまう可能性があります。
　7年ほど前に、信用していた社員に横領されていたことがありました。その人には店長を任せていたのですが、少しずつお金を盗られて、調べて発覚しただけでも八百何十万円も取られていました。

一度されたら疑心暗鬼になりませんでしたか

社長　それまでは社員の良心を信じている部分がありましたが、以来二度と同じことができないように対策をしました。

　他にも営業の社員が、会社には「営業に行ってきます」と言って、実際は家に帰って寝て、帰社したら「営業に行ってきました」と報告するなど、そういう人はたくさんいました。

　勿論、私達の監督が甘いせいもあったのかもしれません。でも、「やります!がんばります!」と言って会社に来てくれたら信用したくもなります。
　たくさん大変な目に遭ってきましたが、まずは信用して任せることにしています。中には何人かそういう変な事を考える人も混ざってしまいますが、四六時中目を光らせるのも却ってギクシャクしそうであまりしたくないのです。

　だからまずは人を信じて「頑張り!」と言って送り出しています。結果を見れば、本当に頑張ってくれているのか、サボっているのかはある程度わかりますからね。経営は人を信じないと成り立たないので難しいです。

会社概要

株式会社 広島明治 【PR枠】