有限会社アイ・エンジの業務内容について教えていただけますか？

　工業用バーナーの設計・施工・メンテナンスや、LPガス設備の設計・施工をしています。
　中でもLPガス設備が業務割合では多くを占めています。各種専門資格取得者はもちろん、経験豊富な人材が在籍しています。
　今では中国地方のみならず、四国地方からも工事の依頼をいただくことが増えてきました。

業者さんとの取引が多いと思いますが、難しい点はありますか？

　所管行政庁との協議には苦労することが多いですね。
　もちろんLPガスの設置に関しては、保安の確保という観点から法律により規制されています。
　しかし地域特有の事情による行政指導等もありますから、そこを考慮した対応が求められます。

　いわゆる公務員の方々は定期的な異動があります。そのため担当者全員が最初からその道のプロフェッショナルという訳ではありません。
　初めての業界に携わるわけですから、戸惑うことも多いわけです。
　そういった方々との折衝・協議もありますので、非常に気を遣うことが多いです。

前社長から会社を引き継がれ、アイ・エンジの社長となられた経緯を教えてください。

　大学卒業後に就職したところは現在の職業とは全く違う業種でした。
　そこを3年10ヶ月で退職したのですが、独身寮に住んでいたにもかかわらず勢いで辞めてしまったので、当然住むところがないわけです。
　残りの有給休暇の消化期間に新たな仕事を探そうと、大変悠長な考えを持っていました。

　たまたま知人から「鳥取県の米子市に本社がある企業が広島に進出してきたがどう？」と紹介されました。住むところも準備すると言われたので何も考えずに就職、この会社が現在の業界に関わるきっかけとなったわけです。
　結局19年11ヶ月勤務しましたが、広島営業所の所長をしていた時に会社が倒産しました。倒産を公表した当日に、6社ほどから誘いを受けました。
　その中から現在の会社のオーナー(前社長)からの誘いを受け、入社することになりました。入社するときにすでに前社長が「65歳になったら代表を降りる。」と宣言されており、入社する時点で会社の今後を任せられる事が決まっていました。

上記の質問から今までの人生を振り返られたとき、分岐点はどこだと思いますか？

　鳥取の企業が広島に進出した時に、勢いで入社を決めた時だと思います。
　その前に働いていた所は一部上場企業のいわゆる大手だったので、大きい会社から小さい会社に転職することはためらう人も多いと思います。

アイ・エンジに入社を決めた時に、迷いはなかったのでしょうか？

　迷いはありませんでした。

　勿論、給料などの待遇がとても良い会社からのオファーもありましたが、それらはお断りしました。
　入社したらややこしい仕事が全部自分に回ってくるのが目に見えてましたし、それまでに培った人脈が断ち切られるのはマイナスになると判断したからです。
　人脈は財産だと思っています。

現在、ご自身が気になっている関心事や事業に繋げられそうだと思われている事はありますか？

　ありがたいことに今とても忙しいので、新しい事を考える余裕はないですね。

　なぜ忙しいのかと言うと、LPガスのバルク貯槽という設備は20年ごとに点検又は交換が必要なのですが、容易に交換できる場所に設置されていない場合が多く、また危険物でもあります。そのため、他業種からの参入も難しく、私は聞いたことがありません。
　 このバルク貯槽は、約20年前に設置が許可されたものであり、今から本格的な点検や交換のピークが来るわけです。

近年再生可能エネルギーの開発や普及が加速していますが、どのように考えられていますか？

　もちろん、再生可能エネルギーも必要だとは思います。
　しかしながら、例えば太陽光発電について考えると、設備が新しいうちは発電効率が高いわけですが、経年劣化とともに発電効率は落ちていきます。また自然災害による設備の損傷も考えられます。
　それらを維持していくためには定期的なメンテナンスや修理が必要となり、当然コストがかかってきます。

　再生可能エネルギーとは、ライバル関係とまでは言いませんが、今後しばらくは棲み分けをしていく必要があるのではないでしょうか。
　そして、将来的には脱炭素の方向にシフトしていくべきだろうなと思っています。

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