会社を立ち上げた頃は時代が良かったので、オープンして1年経ったらほぼ全部の借金を返せるようお金を貯めました。
　それで借金を返そうとしたら、銀行の課長さんが「完済せずに毎月のローンは今まで通り返済して、貯めたお金は定期しなさい」とアドバイスをいただきました。
　でも借入保証人になってくれた社長に迷惑かけたくなかったので完済したいと話したら、保証人なしでお金を借りられる手続きに変更していただきました。
　それから30歳の時に五日市店を出して、33〜34歳の時に井口店を出して、順調ではなかったけど安定していました。

店舗を増やそうと思ったきっかけは何ですか？

　人が育ったことですね。時代背景としては物がよく売れた時代だったので、営業できる人が1人でもいれば店はなんとか成り立ちました。その時代に合っていたからお店を他の人に任せることができたという感じです。

経営していく中で1番苦労されたことは何ですか？

　バイク業界を知らずにこの事業を始めて社長になったくらいですから、思えば苦労と思ったことは今まで一度もありません。
　経営を始めてから売り上げが2億円ぐらいになった頃には訳が分からなくなってしまって、40歳くらいの時に財務や管理、人事、経営計画といったことを自分なりに調べたり人から教わったりして学びました。
　あちこちの異業種交流会に出て、そこで色々なことに特化している人に刺激受けて考え方を変えたり、そこから人事の事や損益対策や決算書の書き方などが少しずつわかるようになったりしました。
　また、会社をちゃんとするために退職金制度や社会保険制度を整えたりと、もうあらゆることが変わりました。その全てがラッキーだったと思います。

仕事をする上でやりがいに思うことは何ですか？

　もう62歳だからね。40歳の頃なら喋ったけど、今は代替りをしようという最中なんです。
　長男は結婚して子供もいるし、長女も結婚していますし、普通のサラリーマンなら60歳とか65歳で役職定年するわけだから、それでもまだ社長やっていること自体がおかしいんです。

　

　会社には人事もリスクあるし、何かあれば経営者の責任だし、取引先に対してもお金のことに関しても信用保証というのは経営者についています。だから有限会社ホンダスポットステージワンの代表取締役田谷克彦が全ての責任を負わなきゃいけないんです。社長と言われても権利も何も無いんですよ(笑)
　それで、分社するか別会社を作るか、今後どうしたらいいのか悩んでいます。

環境保全のために2035年以内に新しく売られる車を全て電気自動車やハイブリッド車に切り替える計画が政府から発表されましたが、それに対してバイク業界は今後どうなって行くと思いますか？

　今後バイクはなくなると思います。二輪車、四輪車の業界はぐるっと変わっていって、バイクは電動化して家電量販店とかで売られるようになると思いますし、修理もバイク屋では行わなくなります。一部のバイク屋が残るかどうかですね。

　10年先のことだから、僕はともかく、後の世代は厳しいと思います。

では今、バイク業界で働きたいと思っている若者は、電気の方の勉強を進めた方が良いということでしょうか？

　今まさにその過渡期なんですよ。
　EV化の話も何も知らない人は多いでしょうし、電気のことを学ぶことが悪いとは言わないけど、時代の流れを見てどのようにしていくか考えていかないといけません。

　僕も今答えはないですが、会社には社員が10人くらい居て、その給料をどう払っていこうかという問題もあるし、今のお客様さんはみんなネットを見てバイクを買うから値段が高い店なんか必要ないじゃないかっていうのも分かってるし、解決しないといけない問題がいっぱい出てきます。
　当社としては、もう少し事業領域を広げればいいと思っています。買取部門やレンタル部門の別会社を作るとか、そうするためにはこんな小さな会社じゃダメなんです。
　もう一個言うと、バイクの販売店にも修理する職人が居るんですが、必要ないと思います。そういう業務体制にしないと若い人が入って来ないでしょう。

それはバイクの修理をすることを辞めるということですか？

　辞めるというか、ちゃんとシステマティックに修理は修理、販売は販売という分け方をしたらいいなって思ってます。
　実際別々に営業している所もあって、もちろんオイル交換などの簡単なものだったら店頭で行いますが、大きな修理は工場でやるんです。営業と修理を一緒にお店でやるのは昭和のやり方だと思っています。

会社概要

有限会社 ホンダスポットステージワン 【PR枠】